東京大学編、その2

アクチュアリーという高度な専門職をめざした理由。

男9a

木村剛裕(仮名) 東京大学 経済学研究科

2015年3月修士課程修了見込、大手生命保険入社予定

──初期の志望企業(業界)は?

東大の文 II ですから、公務員か会計士かという道を漠然と考えていました。

しかし、そんなに固定的に決めてしまっても良いのかとも考えていました。周囲の仲間を見ると、割と入学当初からある方向性に向かっている友だちが多く、ぼくもどうしようかとはつねに頭の片隅にはありましたね。

──いつ頃から就活を意識したのか?

そんなわけですから、1年の時から意識はしていました。

加えて、どの道に進むにしても準備期間が長くかかりますから、早急に自分のベクトルを定めたいという思いが強くなり、東大経済学部卒で可能性のある就職先を時々ですが調べたり、友だちと話したりしていました。

やはり、国家公務員の総合職試験をめざす人が圧倒的に多かったですね。会計士も志望する人はいましたが、試験合格後、すぐに第一線で働けるわけじゃなくて、どこかの監査法人に入って実務経験を積まないといけませんし、いずれにしてもモノになるまで時間がかかるんだと、当時は感じていました。

ぼくはどちらかというとコミュニケーション能力が高いとは思っていなかったので、一般企業で同期から抜け出して出世するよいうイメージも描けませんでしたね。

──就活は具体的に何をしたのか?

まず、手に職を持ちたいと思いました。

先ほどふれたコミュニケーション能力不足は少し大げさですが、会計士になっても発注先の企業から報酬を得て監査するわけですから、業界がいくら公明正大を謳っても、そこには力関係や法人間競争など濃いネゴシエーションが発生するのではないかと危惧しました。また、公務員も一発勝負を1年かけて挑戦して、もし不合格だったらどうしようというぼくの心配性が顔を出し、自分には合わない気がしました。

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──最終的な志望企業(業界)は? 同じだった理由は? 変えた理由は?

最終的には、いまでは少し知られるようになりましたが、アクチュアリーになりたいと思うようになりました。会計士と同様、資格職である一方でまだレアな存在であること・生保や損保には絶対必要な人材であること・業界の自由化に伴いニーズが高まりそうだったこと・専門職だからずっと異動がないこと・本社勤務で専門性に磨きをかけることができることなどから、可能性の大きさを感じました。

また、1年1回勝負で合否が決まるのではなく、5~6年かけて正会員をめざすのもぼくの性格に合っているように思えました。

そこで、大学の4年と修士課程の2年の計6年間でクリアしてやろうと。東大に入る人たちは1を聞いて2~10を知る俊敏な頭脳を持った人がいるとともに、1を聞いて1を正しく理解する人がいます。もちろん、ぼくは後者ですが(笑)。基本5科目、専門2科目をひとつずつ突破して行こうと思いました。

大学4年で準会員、修士2年で正会員という目標を立てて、確率・統計・モデリングの勉強を始めました。1科目でも合格すれば、アクチュアリー会研究員になれるので励みになるし、日本アクチュアリー会全員からあたたかく叱咤激励されているような気分になれました。みんなが君の成長を見守っているよ、みたいな…。

──複数の候補企業から、入社を決めたポイントは何か?

生保、損保の統合・合併や外資の保険会社の参入もあって、保険業界はますます激しい競争に晒されることになるでしょう。

その中で確実に生き残るであろう会社を選択しました。規模や保険金総額、取扱商品とサービスの多彩さ、資金調達力などを総合的に勘案して選びました。もちろん、その会社におけるアクチュアリーを生保・損保・年金のビジネスにおける将来のリスクや不確実性の分析、評価などの専門職として正当に処遇してくれそうかという視点で…。

──就活を振り返って、または後輩にアドバイスするとすれば?

東大だから就活はフリーパスという時代ではなくなっていると思います。筆記や適性だけではなく、選考が進めば面接という関門があります。

ややもすると、偏差値は高いけど人間としては…かえって逆のマイナス効果にならないよう、人としての成長もめざしてください。

──採用側の企業に言いたいことは?

一般の学生は大学を出ただけでは何もできません。何もできないけれど、人間性を汲み取って、その可能性の芽を発見してあげてほしいと思います。

次回は、3月20日(金)に掲載します。