東京大学編、その4

ボランティアを通じて、広い視野で自らの夢を実現する可能性を追求する。

女5

雨宮薫(仮名) 東京大学 理学部

2015年3月卒業見込、東京キーテレビ局入社予定

──初期の志望企業(業界)は?

漠然と技術系の業種業界に就職するんだろうなとは思っていましたが、大学2年頃までは明確な志望というものは持っていませんでした。

理系の学部を出たから理系の仕事に就く…その程度のイメージしかありませんでした。あとは、できれば研究職で食べていければというのが、希望といえるかもしれません。

──いつ頃から就活を意識したのか?

遅かったと思います。大学の就職カレンダーに沿ったイベントは参加しましたが、そろそろそんな時期なんだと思っていたくらいで…。危機感なさすぎですね(笑)。

気持ちのどこかに理系なんだし、研究職は無理でも電機か製造業のどこかには入れるだろうと楽観視していました。研究で忙しかったというのもあるし、あることに夢中になってしまったからですが、それは後でお話しすることにします。

勉強はそれなりに真面目にやりましたよ。東大生って、割と普通に勉強が好きだと思います。いや、勉強する癖がついているのかも。他の大学の話で、最初は教室が一杯だったのがだんだん授業を受ける学生が減ってきて、教室がガラガラなると聞きますが、東大の場合はあまりありませんね。学ぶのが苦にならないというか、勉強することに免疫ができているというか(笑)。

まあ、そういう人たちが東大に来ているんでしょうね。

──就活は具体的に何をしたのか?

先ほど夢中になったことがあると言いましたが、その話をします。サークル活動でボランティアをしていたんですが、発達障害の児童たちに勉強を教えるといった活動で、わたしは小学校レベルの算数や理科を担当しました。いままで分からなかった子どもたちが分かるようになって知的な喜びを表情に出すのを見るのがうれしくて…。

そうした活動が楽しくて、大きなやり甲斐を感じました。なら、児童学習支援のNPO法人みたいなところで働けたら良いなと考えるようになりました。でも適当なところがなくて、同じサークル出身の就職している先輩たちに相談しました。先輩たちは社会人になっても、土日など時間が取れる時には活動に参加していました。

先輩たちはそれぞれ院に進んだり、官庁に入ったり、企業に就職したりと、とくにボランティア関連の仕事に就いている方はいませんでしたね。

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──最終的な志望企業(業界)は? 同じだった理由は? 変えた理由は?

相談した先輩のひとりから、こんなことを言われて気づかされました。
「確かにあなたが勉強を教えてできるようになる子はいる。でも、それってあなたが教えた子だけだよね。日本全国には発達障害の児童が救われるわけじゃない。もっと広い視野で将来や自分が実現したい夢を考えてみたら」って。

発達障害という病気は成長するにしたがって症状は変化し、人それぞれに異なります。わたしがドクターのサポートのもと、そのお手伝いをすることができるのは担当したその子ひとりなんですよね。

発達障害に限らず、勉強が苦手だったり分からないまま放置されている子どもは世の中にたくさんいます。そうした子どもたちすべてをわたしが手助けすることなんかできません。

勉強ができない以前に学習する習慣づけをする、もっと社会的に広く影響力を持つ手立てがないものか──次第にそんなことを考えるようになってから、志望が徐々に鮮明になってきました。
マスによるコミュニケーションという方法です。具体的にはテレビ局に入って、児童向けの番組をつくることができたら、もっともっと多くの子どもたちの自立を支援することができるのではないかって。

──複数の候補企業から、入社を決めたポイントは何か?

選択肢はあまり多くはありません。しかも、わたしの夢を実現するために、番組制作に携わることができるかどうかも、入社してみないと分からないし、かなりキャリアを積まないと担当させてもらえないでしょう。

その前に、競争が激しくて東大に入るより狭き門です。でも、チャレンジのしがいはあります。もしダメだったら、先輩たちのようにできる範囲でボランティアをすれば良いのだからと思いました。

面接では、このような夢をいかに説得力を持って面接官の心に響かせるかを考えました。ボランティアの動機から実践、番組づくりの企画、テレビ局としての責任と使命などを訴えました。

──就活を振り返って、または後輩にアドバイスするとすれば?

自分が何をしたいのか、それを実現するためにはどのようなことが効果的か、それを可能にするにはどのような場があるのか、などをしっかりと考えてほしいと思います。

それから、授業は真剣に受けてなるべく良い成績を取ってください。
それが、就活を突破する助けになるかもしれません。わたし自身、大学の評価、入社試験の点数がどれぐらい結果に影響を与えたのかなど分かりません。しかし、できることすべてをできるだけ行うことが、悔いのない就活につながると思います。

──採用側の企業に言いたいことは?

2社しか受けませんでしたが、数度の面接でつたないわたしの話を熱心に聞いてくださった面接官のみなさんに感謝したい気持ちです。

「大学・大学院卒者の就活体験記」は今回で終了します。