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小笠原啓示(仮名) 某大手企業人事部課長(当時)
聞き手:制作社


人材の均質化は避けたいから、多くの学生・さまざまな学生に挑戦してほしい。

──ご無沙汰しています、何年振りでしょうか。

確かリーマンショックがあった年なので、6,7年振りかな。お元気そうで何よりです。

──新しい職場はいかがですか。人事の後は、営業職になったと伺いましたが。

いったん海外赴任を経てから、現在は国内で法人担当の大口顧客を担当しているよ。受注できるか否かで数字が大きいので、楽ではないね。

──この業界も価格破壊が進んでいますが、経営的にはいかがですか。

経営を語ることができる立場ではないので、あくまで私見ということで言えば、一般客は価格が安いほうにシフトしてるよね。ただし、日本人は昔からブランドを尊重する国民性なので、一挙に安さを望むお客様ばかりではないよ。

ぼくが担当している法人分野はほとんど影響は少ないと思う。その代わり、大口なので交渉は以前にも増して激しくなってきている印象だね。

個人客が利用しているほうも、我々のグループの傘下の入っている会社なんだけど、単価が下がる分、当然収益は低減しているよ。

まあ、二極分化ということだろうけど、ぼくらとしては単価が高い方を利用してもらえるよういろいろ創意工夫してるよ。

──海外より国内重視なんですか。

一概にそうとは言えないね。海外からのお客様が弊社を利用してくださって、そのサービスやクオリティにご満足していただき、十分に納得感を得ていただいてから、従来利用していたところから弊社に代えてくれる例は少なからずあるからね。そういうお客様を少しずつ増やしていきたいんだ。

仕事や旅行で個人予約するお客様は概して富裕層なので、「安さより質」を求めるお客様も多いんだ。高い満足感を得ていただいて、次も指名してもらえるようにしているんだよ。

国内は⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎を担っている公的な責務があるので、不採算だからといって簡単に⚫︎⚫︎を切り捨てることは難しいよね。政策的な判断や地元の強い要請があるので、そうした場合は高いサービスより安い料金のほうを選んでもらうことになるのかな。

──漠然とした話なんですが、この業界の将来性はどうなんでしょうか。

現在でも外国からの⚫︎⚫︎⚫︎は右肩上がりを推移している。ただし、課題はそれを弊社がどれだけ捕まえられるかということ──これは永遠のテーマだよね。

利用客が求めるのは、サービス・クオリティ・安さの他に利便性もあるから、日本のどこかかの⚫︎⚫︎が⚫︎⚫︎化されないといけないけれど、それはもう一企業の努力では如何ともし難いよね。

しかし、もともと日本が持つ観光のポテンシャルは秀でたものがあるし、現代と未来、過去と伝統文化がバランス良く調和した魅力は他の国にはないものだと思う。これは海外赴任を経験して再認識させられたよ。弊社としては⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎を増やすことが、弊社の利益にもなるし、結果として日本経済への貢献にもなると思っているんだ。

──御社とお付き合いさせていただいた時に思ったのですが、見方を変えればいわゆる⚫︎⚫︎産業であるとも言えますよね。施設も人員も自前で育成しているので、日々、必要な経費は膨大だなと思いました。

一時期、外注化できるヒトやモノは外に出していたけど、いまは逆に社員化して内部に抱える流れになっているね。内部化して、責任を持って専門職を育成する施策のほうがクオリティの維持・発展には必要なことだと思う。しかし、かつて経営的に苦しくなった時は、ある部分で大きく見直しを迫られました。人員の配置転換や早期退職の奨励、退職者への処遇の再検討など…。

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──わたしが取材でお会いした御社の社員の方々はみな、素晴らしい人ばかりでした。どのような採用基準なんですか。

言い難いですね。というのは、おそらく現在もあまり変わっていないと思うからで、それが弊社の人材戦略の根幹に当たる部分なんでね。いくら何でも企業秘密は明かすことはできないな。

支障のない範囲で答えるとすれば、「心身ともに健全な良識人」といったところでしょうか。もちろん、筆記試験や適性試験、面接はぼくと上司の部長が何回か行ってから上に回すんだけど、それで大体、人となりは分かるよね。

時々いるんだよ、出身大学が良くて成績も申し分ないのに、偏狭な考え方の持ち主が。業界誌まで読んでいるマニアックな学生やコレだけやりたいというコミュニケーションに問題がある学生が…。

だから、普通の人の中で秀でたポジティブな学生が良いですね。

──そうすると、選考の過程でいわゆる「東一早慶」に代表される旧帝大など、単に学業だけ優秀な学生に絞られてしまいませんか。

他社もそうだと思うんだけど、出身大学伏せても選考を経ていくと結果としてそうなってしまうんだよね。人材の均質化は避けたいので、なるべく地方の国立大学生、いままで採用したことのない大学出身者に挑戦の機会をあげるようにしたいんだけどね。

秋田国際教養大学なんて、興味があるよ。まあ、早稲田や上智にも国際教養学部があるしICUは教養学部だけだし、結局は学生本人の資質によるのは他社の選考基準と同じなんだけど…。

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人のために働くことを苦にしない普通の人材がほしい。

──選考中、トラブルはありませんでしたか。

もう時効だから言ってもいいのかな。

先に言ったマニアックな学生だよね。「何で落としたんだ。自分は子どもの頃から憧れてきて貴社に対する情熱は誰にも負けない。試験の成績も良かったはずだ」とか。その情熱が妙に偏っているんだよね。

それから、こんなこともあったね。一度内々定を出したんだが、弊社を辞退して親元の関西に本社がある⚫︎⚫︎⚫︎西日本に決めた学生が、「両親と相談したら、『絶対、御社に行け』って言うものだから撤回したい」って。もちろん、縁がなかったということでお断りさせていただいたけど、親離れしていないのが情けないね。

また、ある年のエントリーシートによく「ナンバー・ワンよりオンリー・ワン」というフレーズが出てくるんだよ。あの⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎の歌詞なんだろうけど、よっぽど使い勝手が良いのかな。ある時期2、3年は良く目にしたよ。成否は別にして、若いんだからナンバー・ワンをめざすぐらいの意気込みがほしいよね。

──お付き合いさせていただいた時に分かったことですが、実質おひとりで採用を切り盛りされてましたよね。大きな会社なのに凄いなと思いました。

専門職は別にして、いわゆる事務系総合職の採用は基本的にぼくひとりでやってたよ。いちおう上司はいたけど、決済や最終判断の立場であって、採用の現場で動いていたのはぼくと臨時に補助してくれた数人だけだった。

だから採用に関わるパンフレットやホームページなどツール類の取材人選調整・立会い・許可申請・原稿チェック・校正チェックから、合同説明会の全国行脚や選考の進行管理など、これら全部をひとりでやることになるとは異動して間もない頃は知らなかった。やってみて仕事量の膨大さを初めて知って、騙された…って(笑)。

──わたしは取材で貴社社長を初め、数十・数百人以上の方々とお会いしていますが、御社の社員のみなさんに共通した謙虚で前向きな姿勢、物凄い量の仕事を抱えながら前向きでいられる意識の高さは、企業カルチャーがそうした資質を育む土壌になっているのでしょうか。

SPIでストレス耐性は見るし、あとは面接で絶対分かるよね。この学生は名門大学出身で成績は優秀だけど表面を繕っているかどうか、は。

選考が進むにつれて、人を見る目が鋭い上司や役員たちが判断するわけだから、ヘンな人が紛れ込む余地は限りなくゼロに近くなると思うよ。

また、話に出た企業風土も影響していると思う。ウチの会社の職域は他社とは比較できないほど広いので、それぞれの分野で専門家にならないとやっていけないんだ。異動先で任される仕事はみな初めて経験するものが多いし、自分でも勉強し周囲の助けも借りて成長しないととてもやっていけない。だから、後向きではとても課題はこなせないし、誰かがやってくれるわけでもない。自分で道を拓くしかないんだよ。

──人事を経験して現在は違う部署にいらっしゃるわけですが、採用を経験されていかがでしたか。

弊社に入って人事をやりたいという意識を持っている社員は少ないと思うな。思うけれど、実際に経験してみてやって、現在は良かったと思っているよ。

いままで配属されてたことがない部署との関わりやあまり馴染みのない社員と接点を持てたことで、改めて自社の存在価値や使命を実感することができたんだ。また、技術系専門職の方々との関わりを通じて、自社の施設なのに初めて入らせてもらったり、彼らとコミュニケーションを取ることができたりと、人事でなければ得られない貴重な体験をさせてもらったと思う。

社長撮影で立ち会ったけれど、会う機会のない社長と会えたりとか、一般の社員がお目にかかることはないよね。その意味では、新卒採用を担当できて感謝したいくらいだね。

──これからのこの業界をどのように展望されていますか。

たとえば⚫︎⚫︎の⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎運用供与が始まり、東京オリンピックも開催されるので需要は拡大する一方だと思うよ。利用者の利便性向上に寄与し、将来の⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎需要に対応した⚫︎⚫︎⚫︎を確保しつつ⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎の受け入れを可能にするからね。そこでいかに⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎を増やすかがカギだと思うね。他社も同様だろうけれど、そこは負けたくないね。

また、そうなれば⚫︎⚫︎も手をこまねいてはいないだろうし、⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎間の競争・⚫︎⚫︎間の競争は一層激しくなると思う。

質問されるばかりなので、こちらからも聞きたいんだけど、新卒採用に関わって何か感じることはありましたか。

──たくさんありますよ(笑)。うれしいのは、何もない状態から採用担当の方と企画をつくって、取材撮影し、デザインを組んで、カタチにできた時がやはり一番でしょうか。加えて、その出来のお客様が満足していただき、感謝の言葉をいただけた時ですね。

悩ましいのは、担当される方の部署は多くは人事ですから、ジョブ・ローテーションの一環として数年で代わってしまうことですね。それまで積み重ねてきた関係性が新任の方の代でゼロに戻ってしまいますから。

中には非常にビジネスライクでドライな方になると、単純に価格での比較をされてしまうのがツライところですね。

それは我々の仕事にも言えることだね。一般論ではなく、当社についてはどう思ってたんですか。

──クリエイティブを理解してくれる良い会社だと思っていましたよ。本当に(笑)。「これこれこういう理由でこうしたほうが良い」とご説明すれば納得していただけましたし。原稿に対する注文は多かったですが、これは他社も同様で、一番良く会社や仕事内容を知っているのは、その会社の社員ですから当然です。

いくら業界事情に精通し、何年も御社を担当しているライターでも過去の蓄積はあっても、第一線で活躍されている社員の方々には情報の鮮度や精度の高さの点では敵いませんよ。

あとは、良い会社ほど余裕というか、細かい注文は少なかったですね。方向性さえ共有しておけば、枝葉末節の誤りは自社が修正すれば良いという考え方で、案件の進行は本当にスムーズでした。

──最後にぜひ伺いたいのですが、新卒採用に限らず、人の問題は企業にとって最大のテーマだと思うんです。各社とも「企業は人なり」的な意味合いを経営理念として掲げています。優れた人材とは、どのような人なんでしょうか。先ほど採用基準は答えられないとのことでしたが、個人的な見解はいかがですか。

食い下がるね(笑)。フォーマルには経営層に聞いてもらうことにして、ぼくが仕事している社内外で関わる人の中でこの人は良いなと思う人に共通したことを話すことにしますか。

頭の回転が速いとか事務処理能力に秀でているとかのスペック的なことは別にして、「情けは人の為ならず」な人かな。企業はたくさんの人で構成されていて、もっとも有効なアウトプットができるように組織されたり、本当の意味でリストラクチャリングされたりしている。

それは、他の人の協力の必要性を前提としていると思うんだ。自分ひとりでできることは本当に限られているけれど、周囲の助けを借りればできることは広がっていく。自分の殻に閉じこもって、「わたしの職域はこの範囲です」なんて線を引く人は、仕事で行き詰まった時、逆に困まるんじゃないかな。ベクトルをみんなに合わせて一緒に走れる人が良い人材だと思うね。

──長時間、ありがとうございました。

こちらこそ、どうもありがとう。

※伏字が予想以上に多くなってしまいました。なにとぞご了承ください。

次回は4月6日(月)に予告編を、4月10日(金)に本編を掲載します。


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