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松宮加奈子(仮名) 中堅IT会社主任(当時)
聞き手:制作社

適性と相性、ミスマッチを防ぐために行った採否の基準です。

──かなりご無沙汰してしまいました。

本当にお久しぶりです。3年振りぐらいでしょうか。

──人事から離れて総務部門に異動されたと伺いましたが、新しい部署はいかがですか。

組織の大改革があって、3年前とはまったく異なる会社になりました。ほとんどの部署に「戦略」という名前が付いて、文字通り戦う集団に変わりました。抽象的になりますが、全社員に自発的に仕事に取り組むことが求められていて、総務であっても待ちの姿勢ではなく、自ら何が求められいるのかを探し、それを解決していくことが求められるようになりました。

それから、人事・総務・経理といったスタッフ部門の人員は限界まで数が絞られて、プロフィットを生み出すことができる部署が増強されましたね。ですから、仕事量が大きく増えたのはもちろんなんですが、意識改革が厳しかったですね。それまでは何10年も旧来型の考え方でいましたから。いまはようやく慣れてきたところなんです(笑)。

──たいへんなんですね。それで今日は松宮さんが人事にいた頃のお話を伺いたいと思って、お忙しいところ時間をつくっていただきました。よろしくお願いします。

たった3年前のことなんですが、振り返ると懐かしい気がします(笑)。

現在の採用とは大きく異なっているので、支障のない範囲でお話しようかと思います。また、いわゆる選考基準の底流にある姿勢はいまでも共通していると思うので、弊社が分からないような記事にしていただければ、学生の方々の参考になるかもしれませんね。

──まず伺いたいのは、貴社のポジショニングです。ITというと、NTTデータを頂点とする歴然としたヒエラルキーがあるように思うのですが…。

IT業界における弊社の位置付けは、あまり意識していませんでしたね。客観的に評価すると3番手集団ぐらいかと思いますが、ITに関連した会社はたくさんありますから、その中から弊社を発見してもらってエントリーにつなげることに注力していました。

確かに上位校学生の応募は少なかったですが、出身校が選考の大きなファクターではありませんでした。文系理系を問わずに、弊社を志望する学生はみな面接しました。そこで適性と基本的な能力さえあれば、弊社で責任を持って育成していました。

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──とすると、採用課題は何だったのでしょうか。長く貴社を担当していたので、ある程度は分かっているのに、あえて質問させていただきますが…。

やはり、知名度でしたね。

先ほど言ったようにIT会社は本当にたくさんあります。その中から何らかのキッカケで学生に弊社をまず見出しもらうこと先決でした。弊社を認知さえしてもらえれば、弊社の企業価値については自信があったので、いくらでもプロモーションできると思っていました。

そこで母集団を増やすことに力点を置き、あなたがた採用を主力業務とするプロのチカラを借りたわけです。おかげさまで、年度のよる差異はありましたがおおむねの採用人員は確保できていました。

──貴社を語る上で避けて通れなかったのが、●●●グループの1社である点でしたが、このプラス面とマイナス面はどのように捉えていましたか。

社名に●●●が付きますからね。どうしても●●●社のIT部門を担う会社であるかのような印象を学生に与えてしまいますね。

ただ、この点は割り切っていました。IT業界ではたとえば「株式会社ABC」のように単にアルファベットの会社があふれていて、学生に何のフックも与えられない会社が多いじゃないですか。そうした会社に比べれば少なくとも●●●に関連した会社なんだと意識付けできる分、アドバンテージはあるのではないかと思っていました。

あとは、●●●グループであることのメリットと、デメリットがないことを説明会で学生には伝えました。具体的には「●●●グループの一員だから安定している」が「●●●社のIT部門でなく独立した会社であり」、「●●●グループからの仕事は全体の1/3に過ぎず2/3は他社からの受注である」など…。一方で安定性を訴求し、一方で新規顧客が多くあるというように。

──それが貴社の最大の強みということですね。

ええ。他のIT会社には、実際のビジネスでは必須になる●●・●●・●●がありませんから。それらを含めてシステムを構築し、提案・実行できる会社はあるにはあるでしょうが、ゼロから組み立てていかなければなりません。

それに対して、弊社は●●●本体ですでにその仕組みを擁し、それを前提にしたシステム構築の提案ができます。実績もすでにたくさんありますからね。お客様企業に与える説得力には大きな差があると思いますし、他のIT会社より絶対的な優位性があると思いますよ。

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──わたしが貴社の担当だった時は、毎年数100人規模の採用でしたね。それほど仕事量が多かったのでしょうか。

●●●グループ各社からの仕事は増えるとともに、他社からの仕事も増えましたから、例年それくらいの人員を増やしていかないと対応できませでした。●●●本体と関連した業務を受注できるのも強みでしたね。

新卒者を採用してもすぐには戦力になりませんし、自社で人材を育成・養成するのが基本的な人材戦略でしたから、毎年それぐらいの人数は必要でした。

──出身校にはあまり重きを置かなかったというお話でしたが、では何が採否の基準だったのですか。

適性と弊社との相性ですね。適性は試験である程度分かりますが、相性は実際に就業してもらわないことには分かりません。とはいえ、アルバイトや契約社員のような試用期間を設けることはできませんから、内定を出す前に弊社と合うかどうかを見極めなければなりません。

また、いまやITを理系の仕事だと思っている学生は少ないと思いますが、まだ誤解している学生がいます。弊社はSE職でも文系出身者を多く採用しているので、自分でどんどん積極的に学んでもらわないと成長できないし、仕事も任せることができないんですよ。

そうした「待ち」ではなく「攻め」の意識を持った学生かどうか──日々新しいことを勉強しなければ勤まらない仕事であることや、会社の雰囲気も一見和やかですが、みな自覚を持って業務に臨んでいることなどを理解してもらって、それにフィットできる人材かどうかを面接で観察するようにしていました。

せっかく入社しても数年で退職するようなことがあれば、学生にとっても弊社にとっても不幸です。そういったミスマッチを防ぐ意味でも、弊社との相性が合うかどうは重要な選考ポイントでした。

──確かに、ひと口にITといっても取材でオフィス内に入ると、会社によってずいぶん雰囲気が違いますよね。選考中に困った出来事や入社後のミスマッチはありましたか。

あなたにつくってもらったパンフで掲載した社員のようになりたいという学生が結構いて、素直に喜んでいいかどうか迷うようなことがありました。

弊社内でも活躍しているポテンシャルの高い人材を人選して取材してもらったので、学生の高いリアクションはうれしいのですが、掲載した社員が弊社を代表するわけでなく、あくまで象徴的な存在であり「One of Them」であることを理解して欲しいんですけどね。

また、これもあなたに企画していただいたホームページの●●●のモチーフに惹かれて志望してきた●●●●の学生が結構ありました。これも、あくまで比喩に過ぎないし、下位階層を見てもらえばITの会社であることは明らかなんですが…(笑)。

ミスマッチという不幸な事態は避けたいのですが、毎年、数名は出てきてしまいますね。本人に聞くと「思っていたのとは違う」という話が多く、どうも弊社の説明を自分の都合に合わせて理解している学生がいるようです。数100名規模の採用ですから、そうした一部のミスマッチが出てしまうのはやむを得ないのかもしれません。

──「One of Them」は、商用サイトで見本として挙げた色の商品ばかり売れる現象に近いものがありますね。さて、選考の終盤で、ぜひ欲しい人材で迷っているような学生には、どのように対処されていましたか。

いままで話したような弊社の優位性を改めて伝えて説得しました。説得はしましたが、強引に弊社に来るようには言いませんでしたね。

それでも他社に流れる学生は、当時の人事部長の方針だったのか、あえて引き止めませんでしたね。

──ITを志望する学生に何かアドバイスはありますか。

理系の学生は確かにアドバンテージはありますが、テクノロジーは日々進化しているので学生時代に学んだことはすぐに古くなってしまいます。だから、勉強する姿勢をつねに忘れないことと、ビジネスの相手は人なのでコミュニケーションが苦手でなんて言わないで欲しいですね。

また、文系出身の学生のみなさんは弊社にはきちんと整備された研修制度があるので、臆することなく挑戦して欲しいですね。弊社はみなさんを手厚くサポートしまし、現場でも先輩方がきちんとフォローしています。

──長時間、ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

次回は4月20日(月)に予告編を、4月24日(金)に本編を掲載します。

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