企画と予算だけで、発注業者を決めていませんか?

snkh_0316a企画と予算のバランスが取れていることがまず第一。

デザイン、原稿に続いて、テーマを写真、印刷といった各論に移ろうかと思っていましたが、非常に大切な問題がありました。
業社選定の問題です。

部分的にしろ丸ごとにしろ、コンペティションがあり複数社から提案を受けた時、企画内容やデザイン・見積りだけで、発注する業者を選んではいないでしょうか。
企画が最も優れているのはA社・金額が一番安いのはB社──部署メンバーの投票でA社にするという話は良く聞く話です。

もちろん、間違ってはいません。企画は貴社の事業内容を深く理解し課題に対しても施策を施しているかどうかが分かります。また、合わせて提示された見積りも決して安くはないけれど、企画とのバランスが取れていて納得できるものだったか分かります。
デザインも現代的で、それまで使用していたパンフレットより格段にスタイリッシュだ。最終決定権者は部長だけれど、部長もメンバーもA社の提案が相対的に一番良いと判断したからA社に決める──理にかなった業社選定の仕方です。

しかし、1点忘れていることがあります。それは、提案の実現性です。提案内容が素晴らしいのは分かったけれど、果たしてそれが限られた予算・タイトなスケジュールで実現可能かどうかも検討材料のひとつに加えてください。

各種販促物・広報PRの納品までのプロセスにはいくつかのフェイズがあります。
パンフレットの場合、大きく分けて3つのフェイズ1=提案(プレゼンテーション)→2=実行(取材撮影のディレクション、進行管理)→3=印刷、です。上述した企画と予算で業社を選ぶということは、【1=提案】のフェイズしか見ていないことになります。

たとえば有名人を起用する企画、貴社社長を登場させる企画、著名な作家やイラストレーターに寄稿させる企画、凝った仕様の印刷、スマホ用の独自アプリの開発など、本当に実現可能かどうか担保が取れているでしょうか。
そうした大きな企画の実現性の他にも、顧客対応のスピード感や原稿や写真などアウトプットの品質などは【1=提案】のフェイズでは分かりません。

お客様企業の中には、取材するライター候補のスキルや業者の案件対応態勢を【1=提案】のフェイズで求めてくる場合もありますが、実際には【2=実行】のフェイズになってみないとスムーズに進行できるかどうかは分かりません。
過去には、いったんA社への発注を決めたものの、対応が悪いため急遽B社に変更したという話を、親しくなったお客様企業の担当者から聞いたことがあります。

担当する編集者を良く観察し、自分の感性で判断する。

では、何を以って企画の実現可能性を評価すれば良いのでしょうか。

まず、編集(制作会社によっては、ディレクターや制作という名前の時もあります。以下、編集者とします)の力量を計ってください。業者の営業と同行してくる制作やクリエイティブを担当する編集者を、ヒアリングやオリエンテーションの段階から観察してください。

「編集者ってデザイナーやライター、カメラマンを差配して指示するだけじゃないの?」などと思わないでください。
案件が無事、完遂するかどうかは主に編集者の力量にかかっています。ひとつの案件を提案してから納品するまでの彼らの仕事量の膨大さと煩雑さの凄まじさは経験した者でなければ理解できません。
一例だけ紹介すると、原稿の出来が悪い場合、ライターに戻して書き直すこともありますが、そのケースは多くはありません。ライターは抱えている他の案件の執筆に移っていることが多く、書き直す時間がないのです。また、貴社案件全体のスケジュール考慮すると、編集者とライター間で原稿を出し戻しをしている時間はありません。結果、リライトは編集者が行っています。原稿の上がりが非常に悪い場合は、全部書き直すこともあります。それだけ編集者にはかなりの文章力が求められています。プロのライター並みのの文章力が必要です。それ以外の例を逐一述べる余裕はありませんし、ほとんどの編集者は複数の案件(20件以上)を同時進行でこなしています。

営業は案件の最終的な責任者ですが、受注が決まれば関心は他の案件開拓に移ります。せいぜいポイントとなる最初の取材や社長取材の時に立ち会う程度で、それさえない場合が多いです。
案件を受注すればもう自分の仕事は終わりで、後は編集者にお任せ、請求書を書くだけというスタンスの営業も少なくありません。

話は戻りますが、編集者の何を観察すれば良いのか──
あなたが案件の会社側の窓口だとして、同種案件の経験・同業界の実績は質問すれば答えてくれますが、話を盛ってくることが多いです。早い段階で、提案者と実行者が同じであるかも確認してください。
その編集者となるべく多く会話してみてください。やりとりが的を得ている・自分と相性が合っている・何か感じが良さそうな気がする・真摯に仕事をしてくれそうだ・信頼できそうな感じがするといった皮膚感覚で構いません。あなたの直感は当たります。

編集者の中にはプレゼン映えする提案が上手なひとがいます。
しかし、実作業のプロセスで一番長いのは【2=実行】のフェイズです。【1=提案】で風呂敷を広げ過ぎて破綻するケースを何度も見てきました。納品までの長い期間で、最も接触するのが編集者です。このひとと一緒にやっていけるかどうかという視点で編集者を見て、自分の感覚を判断材料にしてください。

以上を整理させていただくと下記にまとめることができます。

◆企画と予算の2つの要因で業者を決めるのは危険である。
◆編集者の存在が、企画の実現と案件の成否のカギを握っている。
◆編集者の力と人柄が、貴社の窓口担当者と合うかどうかを検討する。

次回は5/22(金)に掲載します。

引き続き[あなたと、あなたの会社のために]をご覧ください。

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